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経営者を次のステージへ引き上げる「対話術」

難しい対話ほど「話す力」より「聴く力」が問われる

「気づけば、自分ばかり話していた」

「部下の本音がどこにあるのか、うまく引き出せない」

経営者やリーダーの方から、こうしたご相談をいただくことがあります。

部下との1on1。取引先とのすり合わせ。トラブル時の謝罪や説明

特に、簡単には答えが出ない場面ほど、私たちはつい「何を言うか」に意識を向けてしまう。

どう返せばいいのか。どう収めればいいのか。どう伝えれば、相手を傷つけずに済むのか。

もちろん、それも大切ただ、難しい対話ほど、本当に問われているのは、話す力よりも「聴く力」だったりします。

牽引力を持つリーダーにこそ必要な「マインドフルに聴く力」

そもそも彼らがなぜそのステージに留まっているかが、あなたには分かり得ないから。

リーダーになる人は、もともと話すことが得意な方も多い。

人を動かす言葉を持っている。

場を前に進める力がある。

方向を示すことができる。

それは、牽引力として大きな強みです。

組織が一定の規模を超えてくると、自分の声が直接届く範囲だけで、人を動かし続けることはできなきかなり目の前にいる人だけではなく、自分の目が届かない場所にいる人にまで、安心感や納得感が伝わっていくには何が必要なのか。

そこを考えた時に、私は「マインドフルに聴く力」が、これからのリーダーにとって欠かせないものになっていくと感じています。

あなたの分身になり得る参謀をどう育てていくのか。

その人物の躓きや課題をあなたがいないところでも払拭した状態で輝き続けてもらう必要がある。

対話が難しく感じられる時、どう切り返すか。何を伝えるか。

その思考が忙しくなるほど、相手の表情や息遣い、言葉以外の小さなサインを見逃してせまいがち。

そして実は、部下の本音や、相手の本当の引っかかりは、きれいに整理された言葉の中よりも、言葉になる直前の「間」に表れることが多いのです。

沈黙を恐れない。「間」にある言葉以外のメッセージを拾う

「言葉以外の微細なメッセージ」 これをどう拾い扱うか。

ある企業で「管理職研修で、“沈黙が怖くて話しすぎてしまう”という声が多い」と仰っていました。

けれど、部下の本音は、その「間」の中にあることが多い。

難しい対話ほど、「間」に注意を向ける必要があります。

相手が考えている時間を、こちらの言葉で邪魔しないこと。

マインドフルな聴き方とは、評価や判断をいったん脇に置き、相手の言葉が、どう出てきているのかに意識を向けることです。

たとえば、相手が途中で言葉に詰まったとき、つい「つまり、こういうこと?」と助け船を出したり、自分なりの解釈や意見を伝えたくなることがあります。

でも、そこを一呼吸こらえて、「今、この人は何を感じているのかな」と関心を向ける。

これだけで場の空気が変わることがあります。「寄り添う」とは、何でも「そうだね」とうなずくことでもありません。

答えを急がない。言葉になる前の「フェルトセンス」を待つ

待つことが難しいのは、沈黙の中で、こちら側の不安も動き始めるからかもしれない。

場が止まってしまったのではないか。そう感じると、つい言葉で埋めたくなる。

そこで大切なのは、すぐに答えを渡すことではなく、「それがあなたにとって、どういうことだったのか?」と問いかけたあと、少し待つことです。

ジェンドリンの心理学では、頭で整理される前のまだ言葉にならない微かな感覚を「フェルトセンス(felt sense)」と呼びます。

これには感じるための時間が必要。

同調するのではなく、相手の奥にあるこの「まだ語られていない部分」に関心を向けること。

関心を向ける側にも時間が必要。 AIとは違うスピード感に持ち込みます。

これが対話の信頼を築く土台になります。

相手を聴く前に、自分の「内側」の感覚を受け取る

そして相手の話に耳を傾けながら、実は自分の中にも湧いてくる感覚や違和感があります。

これらは、言葉では表せない情報をあなたのためにカラダやココロが教えてくれているサインです。

リーダーにとって大切なのは、すぐに正解を返すことだけではなく、相手の本音が出てくる余地をつくること。

そのために、自分の中に起きた小さな違和感や感覚を、一度受け取ってみる。

それが、相手を急がせず、対話の場を整える力になっていきます。

反応ではなく「選択」へ。3秒の「完全電源オフ(余白)」が空気を変える

「あ、今つい反応しそうだな」と感じた瞬間に、3秒だけていい、余地を残すこと。

自分の思考が再起動(あるいは一瞬の完全な電源オフ)し、言葉の選び方にゆとりが生まれます。

これはあくまで忙しい現場で「余白」をつくるための方法です。

この余白のあるやりとりが、新しい空気を生むこともある。 難しい対話ほど、「何を言うか」ではなく、「どこから聴くか」が問われます。

そうした積み重ねが、結果的に関係の質を底上げし「反応」ではなく「選択」から言葉を発する対話の土台作りが大切です。

ジェンドリンの心理学(フォーカシング)は、頭で考えるのではなく、自分が感じているものから確かな答えが出る一歩を教えてくれます。