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離職率が低い組織に共通する、たった一つの違い

店長やリーダーが、新人に向き合うエネルギーをどこまで保てているかが大切

「社員が突然、辞めたんですよ」
経営者の方から、そんな話を聞くことがあります。

昨日まで普通に働いていたんだけどびっくりで、会議にも出ていたし、話しかければいつも通りだった。
だから退職届を見たとき、「まさか、あの人が」と思ったそうです。

突然やめたのは、本当に突然だったのか

昨日まで普通に働いていた人が、ある日突然、退職届を持ってくる。

会議にも出ていたし、雑談もしていた。周囲から見れば、まったく予兆がなかったように見えます。

けれど、その少し前を丁寧にたどっていくと、たいてい小さな変化があります。

以前なら口にしていた意見を言わなくなったり、「僕がやります」と手を挙げていた人が、「どちらでも大丈夫です」と答えるようになったりする。

大きな問題ではないからこそ、なんとなく見過ごされ時が過ぎてしまいます。

ある上場企業の起業家のお話を伺った際にも、その小さな変化を考えるうえで、とても印象に残った言葉がありました。

組織が大きくなると、よく「8対2の法則」が語られますが、その方は「それが当てはまらない」とはっきりと話していました。

理由は、能力や技術の差ではないとのこと。

店長やリーダーが、新人に向き合うエネルギーをどこまで保てているか。
伝わらないときに、相手の理解力を疑うのではなく、自分の関わり方を見直せるか。
その熱狂的な熱量が、組織の空気をつくっていく。

といいます。

つまり、人は関わられたようになっていく。

この話を聞いたとき、私は離職のことを思い出しました。

離職について

仕事はちゃんとする。
話しかければ笑う。
会議にも出る。

だから周囲は、その人の中で何かが変わっていることになかなか気づきません。

むしろ、「最近ちょっと落ち着いたな」と安心してしまうことさえあります。けれど、その落ち着きが、本人の中ではすでに「諦め」に近いこともあります。

言っても変わらない。提案しても聞いてもらえない。それなら、この会社ではもうなるべく何も考えないし言わなくていい。

そうやって少しずつ、会社に何かを期待することをやめていく。そして、ある日、退職届が出てくる。

会社から見れば突然です。でも、その人の中では、ずっと前から始まっていたのです。

人が辞める前には、たいてい何かが変わっています。難しいのは、その変化が「問題らしいはっきりとした顔」をして現れてくれないことです。

なんとなく会社に行くのが重い。
前ほど仕事に興味が向かない。
上司と話したあと、妙に疲れる。
大きな問題はないはずなのに、何かが違う。

頭では、「別に嫌なことがあるわけじゃない」とわかっている。でも、どこかが違うと本人が感じてる。

ジェンドリンが注目した「本人には感じられている」もの。

ジェンドリンが注目したのも、こうしたまだ言葉にはなっていないけれど、本人には確かに感じられているものです。

人は理由を説明できるより前に、自分が置かれている状況全体を、ひとまとまりの感じとして受け取っていることがあります。

だから最初から、「会社を辞めたい」と明確な言葉になるわけではありません。最初は、「なんか違う」なのです。

多くの企業が見ているのは、離職率、休職者数、ストレスチェック、残業時間といった数字です。どれも大切ですが、その多くは何かが起きたあとの数字。

本当に見ておきたいのは、その少し前です。

・質問していた人が、質問しなくなる。
・提案していた人が、「どちらでも大丈夫です」と言うようになる。
・相談していた人が、相談しなくなる。

それを「最近やる気がない」で片づけてしまうことがあります。でも、逆かもしれません。

この場所に自分のエネルギーを使うことを、諦めただけ

怒っているうちは、まだ期待があります。不満を言っているうちは、まだ変えてほしいと思っている。

本当に注意したいのは、何も言わなくなったときです。

経験者や人事が必ず見てほしいポイント

経営者や人事が必ずみて欲しいのは、本人だけを見るのではなく、その一つ上のレイヤーを見てみる。

責めるでも許すでもなく、何か解決したい気持ちを横に置いてまずただ感じてみるのです。

・上司の関わるエネルギーが落ちていないか。
・以前より相槌が薄くなっていないか。
・忙しさを理由に、部下への関心が減っていないか。
・会話が業務連絡だけになっていないか。

人は、言葉だけで相手を感じているわけではありません。沈黙や表情、声、身体の動きといった非言語的な情報からも、相手の状態全体を感じ取っています。

だから、関わる側のエネルギーや部内の雰囲気が落ちれば、それは思っている以上に伝わるのです。

ここで大切なのは、「上司も忙しい、そんなタイプだから仕方ない」で終わらせないことです。

部下のやる気を引き出すこと。
小さな変化に気づくこと。
その変化に合わせて関わり方を変えること。

それは、上司の最も重要な仕事の一つです。

もし部下の発言が減り、提案しなくなり、相談にも来なくなったのなら、本人に「もっとやる気を出して」と言う前に、その上司が十分に関われているかを見る。

そこが落ちているなら、会社がアプローチすべきなのは上司です。

負荷が高すぎるなら整える。
関わり方がわからないなら一緒に学び見直す。
それでも変わらないのであれば、マネジメントや配置そのものを問い直す。

離職を「本人の問題」だけにしてはいけません。
もちろん、すべての離職を止める必要はありません。
話した結果、その会社を離れることが本人にとって良い選択になることもあります。

問題なのは、
本人にも組織にも何が起きているかわからないまま、静かに諦めさせてしまうことです。

退職届が出てから、「もっと早く言ってくれればよかった」と言う前に、見るべき場所があります。

その人に、誰が、どんなエネルギーで関わっていたのか。

人を育てる立場にいる人が、その役割を十分に果たしていない。それを会社が「仕方ない」と放置すれば、その負担を引き受けるのは、その下で働いている人ですし、その程度の成長に留まる。

一人が辞めて放置すれば、同じ場所から二人目、三人目が出てくる。そこまでいけば、相性の問題ではありません。

組織の問題です。

だから、ここだけは「仕方がない」で済ませてはいけない。放置すれば、被害者が生まれます。そして経営者あなた自身も、被害者の一人であなたなら変えられるのですから。